例えば、日本のTV局がよくやる 「貧困の村に井戸を!」 といった企画があります。
作るまでと作った直後には、じゃんじゃん水が出て「良かった!こどもたちも嬉しそうにはしゃいでいるね~」と、TVで放送されるのを見ます。
ただ、それを日本人が見て、善意で募金をしたり、勇気づけられたり、自分もボランティアをやってみようと思ってしまいます。
ただ、今もアフリカの各国では水不足となっていて、水問題が解決したとは言い難いです。
日本がこれほどまで援助をして、そして井戸を作っているにもかかわらず、水問題が解決しないのはなぜか?こちらについてみていきましょう。
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今、安全な水を手に入れられない人は世界で6億人
ユニセフのサイトによると、世界人口の半数以上が水道を使えるようになった今なお、
6億6,300万人もの人々が、安心して飲める水が身近になく、池や川、湖、整備されていない井戸などから水を汲んでいると言われています。
実は、その半数近くが、サハラ以南のアフリカ諸国に集中しています。
多くの途上国では、水汲みは子どもたちの仕事となっていて、現在においても、330万人を超える子どもたちが、水の重さに耐えながら、毎日遠い道のりを歩き続けているといわれているのです。※出典 ユニセフ
疲れ果てた子どもたちには、学校に通う時間も体力も残されていません。
ただ、こういった国々は取材されることが多く、今日食べる食料にも困っている村が何箇所かあったとして、その内のひとつに日本のTVクルーとタレントがやってきて、村人たちに支援物資を配り、村に井戸を掘り、水が出て、簡単な農作物なら作れるくらいに発展したりもしています。
なぜ、アフリカの水問題は解決しないのか?その理由を探る
そこで、疑問に思う人は多いと思います。
アフリカに井戸を設置する日本人がいたとして、なぜアフリカは水不足に今も苦しみ続けているのでしょうか。
当サイトで、なぜアフリカに井戸が定着しないのか、その理由を調査してみました。
理由①一箇所だけ井戸を設置しても争いの種になる
さて、このようにテレビクルーがやってきて、井戸を掘る。
その後、いったい何が起こるか想像できるだろうか?
まず、考えられるのは、アフリカは周囲には変わらず貧しさに苦しみ続けている村々があるので、一箇所だけジャパンマネーで裕福になったとしても問題が起きてしまうということです。
実際に、NGOのメンバーが見せてくれた報告書には、水源(井戸) の奪い合いで他の村人との間でイザコザが起き、それが村をあげての戦争に発展し、死傷者が出てしまったケースも。
日本人が善意で行った支援活動が、現地では争いの種になってしまうこともあり「維持できない」ケースがあるのです。
理由②貧しさのあまり井戸を維持することができない
アフリカの水不足解消のため、井戸を作ったとしても、その後もきちんと使われ続けているとは限らず、日本人スタッフが離れた途端に 「襲われる」 というケースすらあるといわれています。
これは学校についてもそう。
これはどういうことかというと、TV屋やタレントらが撮影をしている内は思惑通りに使って貰うことができますが、外国人の監視の目がなくなった途端に、使われた資材が盗まれる。木材・石材・鉄と、他所に売れそうな物は片っ端から壊され、剥がされ、見るも無残なものになってしまいます。
そして、こんな結末などTVは絶対に報じることがありません。
こんなことを報じれば、絶対にスポンサーは応援をしなくなるからです。
農業支援に関しても、例えば貧しい土地でも作れる作物を根付かせようとしても、監視の目がなくなった途端に盗まれたり荒らされたり、井戸と同様に奪い合いに発展することも多いです。
理由③ケアまで考慮した支援活動は厳しい
現在では、世界中のNGOがこうした 「不公平に起因する騒動」 に対するケアまで考慮しており、万が一のないように計画を立てた上で支援活動を行っているのですがケアは十分に行き届いているとは言えないです。
そして、こちらがケアをしていると思っていても、一生アフリカに住み続ける外国人は稀なケースで、善意ある行動が、キレイな結果に繋がるとは限らず、最後まで見届けるのは不可能です。
まとめ
このように、国際援助はとても良いことですが、その半分以上が、貧困層に届かず、一部の村だけとなり、争いの種となったり、また根本的な解決に至ることがないなど、援助の効率が悪いというのが原因で、アフリカの井戸・水問題は解決していません。
また、アフリカは圧倒的な貧困層が多いということもあり、投資の概念、結束の重大さ、そして日本国民が前提としている助け合いなどを求めることは不可能と言ってよいでしょう。
アフリカの指導者の多くは、貧困層からの搾取をしている状態で特権意識を持っているなど、いまだ差別も根強いのも原因となっています。
国際的な援助が未来につながっていくのを望みたいですが、指導者と争いで消えていってしまうのは悲しいことですね。
アフリカの水問題についても、世界全体で考えていかなければならない課題の一つとなっています。